企業文化は変わらない。野菜として生きよう
企業文化って何さ?
取り組んだら放すな、殺されても放すな、目的完遂までは……。*1
ここのところ電通の入社一年目の女性社員の過労自殺が話題になっています。
論点はだいたい次の2点です。
- なぜ死ぬような状況までおいこまれてしまうのか?
- 会社なんかいくらでもあるのだから辞めたらいいのになぜ?
すでに色々な方が答えを書いていますが、自分は「企業文化」という観点から考えてみたいと思います。
で、そもそも「企業文化って何さ?」
どうやらこれは経営学の用語の一つのようだ。会社の価値体系や行動規範のことらしい。経営学の用語なので当然、「経営者」がコントロールする(しようとする)何かである。
経営者にとって都合のいい文化をちょっと考えてみれば、簡単に想像できる
- 安いお金でも文句を言わずに働いてくれる
- 細かく指示しなくても経営陣の意図した通り業績を伸ばしてくれる
- 見返りを要求しない
- 常に上司を立て敬う
- 周りの社員を相互に監視する
- 取り組んだら離すな、殺されても・・(以下略)
- などなど
ふむふむ。おいしい企業文化が育てば経営陣は何もしなくても安泰ですね。つまり企業にとって企業文化というものは命といってもいいほど大事なものなわけです。企業文化がなければ企業はただの人の集まりと同じです。
企業文化はガーデニングのようなもの
企業文化について興味をもってWebを調べているとTakaaki Umadaさんの素晴らしいスライドに出会いました。(100ページ以上ある超大作ですが、ぜひ読んでみることをお勧めします)そこで企業文化はガーデニングに例えるとわかりやすいという一説がありました。これは非常に納得がいきました。
庭(畑でもいいですが)を作るときに、最初にどんな植物を植えるかは非常に大事です。そこでうまく計画通りに植物を植えないと、あとから簡単に修正はできません。植えたあともその後はきれいに刈り込んだり、雑草を抜いたりメンテナンスは大切です。荒れ放題になった空き地や雑木林では収益は見込めないのです。
・・・
「ん?」
待てよ・・
「ということは俺たち社員は野菜か?野菜なのか?」
そうです。あなたは野菜なのです
野菜を植えるのも収穫するのも除草するのも、経営陣の仕事です。ただ、一度生えた作物を抜くのは大変です。血を流したり叫んだりするでしょう。
(マンドラゴラに例えてもよかったかも?)
あなたは野菜なので他の野菜を刈り込んだり抜いたりする権限がないことを知りましょう。つまりあなたに企業文化を変えることはできないのです。
「死んでも離すな・・」という文化の農園ではそれに従う以外道はないのです。
「俺は違う!日々の行動を見せつけることで、周りに影響を与えることができる。俺は文化を変えるのだ。見てろ!」
と未来を信じる野菜諸君もいるかもしれません。
はっきり言いますが、何年かかってもほぼ不可能です。周りと違うやり方を孤軍奮闘でやっていればまず批判され、いやがらせされます。出世の道も絶たれるでしょう。
万一、社長まで上り詰めれば別かもしれませんが・・
そもそもあなたのいる農園では普通の野菜が経営者になれるようにできてるのでしょうか?それをまず冷静に考えたほうがいいでしょう。
じゃあ野菜のわたしはどうすれば?
一番いいのは自分が農園を開くことです。そうすれば企業文化はあなたがデザインできます。(最初が肝心なのでいい野菜を植えましょうね)
「無理、無理。金も人脈もないから野菜やってんだぞ、こらっ!」
という場合はどうすればいいでしょうか。
身も蓋もない話ですが、企業文化を変えようとするのは無理なので、今の企業文化がどうしても耐えられないのならば、逃げ出して別の農園に行きましょう。実際に行ってみてもっとひどい農園だったら悲惨なので、下調べは入念に。(幸い今はネットが発展しているので情報は簡単に手に入ります。)
(画像はイメージです)
きっとあなたに合ったいい農園が見つかるはず?
ただ、問題が一つ。
同じ業界だとどこに行ってもあまりかわらない
という事が多いです。うーむ。確かに。
けど、本当にありとあらゆるところを考えましたか?
田舎は?大都市は?中小都市は?外資系は?思い切って外国は?
国民性は企業文化に大きく影響しているので、外国企業の文化はすごく違います。
外資系といってもみんな知っているような超巨大企業の日本支店から、ハゲた白人のおっさんが事務所か自宅かわからない一軒家で10人ぐらいでやっている会社まであります。敷居の高さも色々です。末端の野菜としてのんびり働きながら、一部上場企業の役員ぐらいの年収をもらえることだってありえます。
あなたの理想の農園がどこでみつかるかはわかりません。
けど、いっそ野菜として生きるなら、のびのびと花を咲かすことができる畑を見つけたいものです。
*1:電通「鬼十則」より