雪国とハラール
日曜日からシアトル近郊に雪が降って珍しいことに結構積もった。普段はあまり雪がふらないので、町は大パニックである。学校は休みで、会社もみんな自宅勤務状態である。郵便もアマゾンもやって来ない。シアトルは緯度的には北海道よりも北にあるのだが、普段はあまり雪がふらないのでインフラが整備されていないのだ。
雪国だと道に融雪装置が設置されていたり、除雪車や雪捨て場が完備されていたりするようだが、そうではない町に雪が積もるとどうしようもない。幸いうちにはスバルの四輪駆動車があるので、道路の状況がマシになったころ合いに歯医者の予約に行ってきた。歯科衛生士さんが歯石クリーニングをしながら、
「全く、税金を払っているんだから除雪作業ぐらいきちんとやって欲しいよね。」
と言い出した。まあ気持ちはわからなくもない。ただ自分にはこれは仕方がない事のように思える。数年に一度しか積もらない雪の為にインフラを整えるのは効率的なお金の使い方とはどう考えても思えない。インフラは使わない間にも維持コストがかかるのだ。市民の大切な税金を預かっているからこその決断だろう。ここは潔く諦めてパニックになった町を楽しむしかないのではないか。
まあ全開にされた口に妙な器具を押し込まれているのでそのような意見は言うことはできなかったのだが・・
ところで突然話は変わるが、「ハラール」という言葉を知っているだろうか。イスラム教徒向けの食べ物のことであり、厳格なイスラム教徒でも食べても大丈夫というハラール認証というものもある。同じようなものにユダヤ教徒の食べる「コーシャ」というものがある。
なぜこんな事を書くのかというとふとこの記事が目についたからだ。厳格なイスラム教徒はハラール以外の食べ物を食べることは許されないので、給食でも対応して欲しいという話だ。これは非常に難しい問題だ。さっきの雪国のインフラ理論でいけば、給食でハラールに対応するのはコスト的には全く割に合わないであろう。おもてなし精神でコスト度外視でも対応するべきなのだろうか。
ただ、正規の滞在許可で滞在しているイスラム教徒は当然税金を収めているわけで、このような要求を「通るか通らないか」は関係なくこういう問題があると主張していくことは当然であると思う。言わないとそういう問題すら存在しないと思われてしまうからだ。元の記事にも「ムスリムを取り巻く問題改善のきっかけになれば」と書いてある。
しかし、自分が悲しい気持ちになったのはその記事についているコメントの酷さだ。ほとんどが、「嫌なら出て行け」だの「イスラム教による文化の侵略だ」といった具合だった。日本はトランプにも負けないぐらい移民に差別的で排他的な国なのだろう。
自分もアメリカで移民として働いていなかったらこんな事は思わなかったかもしれないし、昔の自分もこんな感じだったのかもしれない。
「ああこういう問題もあるのか。難しい問題だけどいづれ落とし所を見つることができればいいね。」
ぐらいにみんなが思えればいいのになあ。と、そんなことを思いました。まる。
Alienware Alpha で nvenc (CUDA) やってみた
Alienware Alpha を知っているか?
1年半ぐらい前に400ドルで買ったコンパクトPC「Alienware Alpha」。縦が6センチぐらいで横は20センチ四方のミニパソコンなのですが、そこそこのGPU (Geforce GTX 860M)を搭載しているんです。で、なぜかxbox 360のコントローラーもついてくるという謎仕様。結構お買い得。後日250ドルほどでSSD換装とメモリ追加(合計8GB)にしています。
せっかくなのでGPUコンピューティング!
で、こいつのビデオチップのGeforce GTX 860M というのはそこそこの能力がありまして、新しい3Dゲームも最高画質設定とかにしなければそこそこ遊べるわけです。(ビデオカードだけで8万円もするような最新のGPUと比べればカスですが・・)
ただ、ゲームをするだけでは勿体ないので、流行りのCUDAをやってみようかと思いました。CUDA先輩、マジハンパねえ・・(はず)。
やったこと
- Ubuntu 14.04をインストールしてデュアルブートにする
- CUDA 8.0 をインストール
- FFMPEG を nvenc を有効化してコンパイル。比較のためx264も有効にしておく
- 動画を変換してみて、本当に速いか確かめる
困ったこと
- UEFIブートでWindowsとUbuntuをデュアルブートにするのに手間取りすぎた。セキュアブートをオフにして、Windows の FastBoot もオフにするべし。bcdedit.exeとかrEFIndとかいろんなものを試しまくって疲弊・・
- CUDAと一緒に入るnvidiaドライバーをインストールするにはubuntuの標準ドライバをblacklistに入れる必要があります。てか、公式ドキュメント読むのが吉。英語怖いけど
- gitでソースを落としてきてconfigureしてコンパイルするだけ。CUDAのheaderとかlibのフォルダを指定する必要があった。最初x264を有効化するのを忘れたのでCUDAしか使えないというffmpegが出来上がってしまい、CPUと速度比較できなかった。コンパイルしなおしました・・
- 特に苦労はなし。ffmpegのオプション?ググるが吉。
変換タスクに使った動画
Aquarium Free footage in mp4, avc format for free download 164.63MB
この熱帯魚の動画(1分44秒, 1080p, 無音)を 720p の h264/mp4動画に変換する
結果
h264_nvenc (CUDA) : 24.904秒
libx264 (CPU): 1分34.766秒
3.8倍ぐらいCUDAが速いという結果になりました。やっぱCUDA先輩ハンパなかったっす。
Microsoft Sculpt Ergnomic Mouse の修理
このマウスを使っているのだが、どうも最近スクロールの反応がおかしい。おそらくホコリが詰まっているのだろうが、なかなか分解する方法がわからない・・
検索すると次のようなページを見つけた。マウスの右ボタンの下にヘラを突っ込んだら外れるらしい。なんだ、そんなことか。
というわけで、修理してみました。
簡単にできました。マウスホイールも気持ちよく動きます。めでたしめでたし。
「ピコ太郎 殺す」ってw
こんにちは。絶賛3日坊主キャンペーン中の当ブログですが、先日久しぶりにアクセス解析を見てみました。
こんな場末のブログにもたまに検索アクセスがあるようです。で、その検索ワードが「ピコ太郎 殺す」でした。
確かに「ピコ太郎 殺す」で検索すると当ブログがトップにでてきます。どうもピコ太郎を殺したいと考えている人がこの世にはいるようですね。くわばら・・くわばら・・
オチは無しです。サーセーン!
企業文化は変わらない。野菜として生きよう
企業文化って何さ?
取り組んだら放すな、殺されても放すな、目的完遂までは……。*1
ここのところ電通の入社一年目の女性社員の過労自殺が話題になっています。
論点はだいたい次の2点です。
- なぜ死ぬような状況までおいこまれてしまうのか?
- 会社なんかいくらでもあるのだから辞めたらいいのになぜ?
すでに色々な方が答えを書いていますが、自分は「企業文化」という観点から考えてみたいと思います。
で、そもそも「企業文化って何さ?」
どうやらこれは経営学の用語の一つのようだ。会社の価値体系や行動規範のことらしい。経営学の用語なので当然、「経営者」がコントロールする(しようとする)何かである。
経営者にとって都合のいい文化をちょっと考えてみれば、簡単に想像できる
- 安いお金でも文句を言わずに働いてくれる
- 細かく指示しなくても経営陣の意図した通り業績を伸ばしてくれる
- 見返りを要求しない
- 常に上司を立て敬う
- 周りの社員を相互に監視する
- 取り組んだら離すな、殺されても・・(以下略)
- などなど
ふむふむ。おいしい企業文化が育てば経営陣は何もしなくても安泰ですね。つまり企業にとって企業文化というものは命といってもいいほど大事なものなわけです。企業文化がなければ企業はただの人の集まりと同じです。
企業文化はガーデニングのようなもの
企業文化について興味をもってWebを調べているとTakaaki Umadaさんの素晴らしいスライドに出会いました。(100ページ以上ある超大作ですが、ぜひ読んでみることをお勧めします)そこで企業文化はガーデニングに例えるとわかりやすいという一説がありました。これは非常に納得がいきました。
庭(畑でもいいですが)を作るときに、最初にどんな植物を植えるかは非常に大事です。そこでうまく計画通りに植物を植えないと、あとから簡単に修正はできません。植えたあともその後はきれいに刈り込んだり、雑草を抜いたりメンテナンスは大切です。荒れ放題になった空き地や雑木林では収益は見込めないのです。
・・・
「ん?」
待てよ・・
「ということは俺たち社員は野菜か?野菜なのか?」
そうです。あなたは野菜なのです
野菜を植えるのも収穫するのも除草するのも、経営陣の仕事です。ただ、一度生えた作物を抜くのは大変です。血を流したり叫んだりするでしょう。
(マンドラゴラに例えてもよかったかも?)
あなたは野菜なので他の野菜を刈り込んだり抜いたりする権限がないことを知りましょう。つまりあなたに企業文化を変えることはできないのです。
「死んでも離すな・・」という文化の農園ではそれに従う以外道はないのです。
「俺は違う!日々の行動を見せつけることで、周りに影響を与えることができる。俺は文化を変えるのだ。見てろ!」
と未来を信じる野菜諸君もいるかもしれません。
はっきり言いますが、何年かかってもほぼ不可能です。周りと違うやり方を孤軍奮闘でやっていればまず批判され、いやがらせされます。出世の道も絶たれるでしょう。
万一、社長まで上り詰めれば別かもしれませんが・・
そもそもあなたのいる農園では普通の野菜が経営者になれるようにできてるのでしょうか?それをまず冷静に考えたほうがいいでしょう。
じゃあ野菜のわたしはどうすれば?
一番いいのは自分が農園を開くことです。そうすれば企業文化はあなたがデザインできます。(最初が肝心なのでいい野菜を植えましょうね)
「無理、無理。金も人脈もないから野菜やってんだぞ、こらっ!」
という場合はどうすればいいでしょうか。
身も蓋もない話ですが、企業文化を変えようとするのは無理なので、今の企業文化がどうしても耐えられないのならば、逃げ出して別の農園に行きましょう。実際に行ってみてもっとひどい農園だったら悲惨なので、下調べは入念に。(幸い今はネットが発展しているので情報は簡単に手に入ります。)
(画像はイメージです)
きっとあなたに合ったいい農園が見つかるはず?
ただ、問題が一つ。
同じ業界だとどこに行ってもあまりかわらない
という事が多いです。うーむ。確かに。
けど、本当にありとあらゆるところを考えましたか?
田舎は?大都市は?中小都市は?外資系は?思い切って外国は?
国民性は企業文化に大きく影響しているので、外国企業の文化はすごく違います。
外資系といってもみんな知っているような超巨大企業の日本支店から、ハゲた白人のおっさんが事務所か自宅かわからない一軒家で10人ぐらいでやっている会社まであります。敷居の高さも色々です。末端の野菜としてのんびり働きながら、一部上場企業の役員ぐらいの年収をもらえることだってありえます。
あなたの理想の農園がどこでみつかるかはわかりません。
けど、いっそ野菜として生きるなら、のびのびと花を咲かすことができる畑を見つけたいものです。
*1:電通「鬼十則」より
大麻合法化はトンデモ論?なぜ犬として生きるの?
医療用大麻は存在しない?
医療用大麻解禁運動を展開していた高樹沙耶が逮捕されました。厚生省のお医者さんはそもそも「医療用大麻など存在しない」とおっしゃっております。
はたして、本当でしょうか?
シャーロットちゃんとザカイくんのケース
いえ、ちゃんと存在します。痛みの緩和以外にも効果のある症例がたくさんあります。
次のビデオにでてくるシャーロットちゃんは「乳児重症ミオクロニーてんかん」という難病で、週に300回以上のてんかん発作に苦しんでいました。言葉も歩くことも食べることもままならず、ただ横たわっているだけの生活です。ほとんど「生きている」とは言い難い状態です。あらゆる治療薬を試したが効果は無く副作用で心停止までする始末。
しかし、CBDを多く含有する医療用大麻を使い始めてから状況は一変します。300回もあったてんかん発作は週に0回か1回ほどになり、シャーロットちゃんは言葉や歩くことを取り戻しました。ビデオには楽しそうにバレリーナの真似をするシャーロットちゃんが映っています。彼女は大麻によって命を取り戻したのです。
ビデオの後半に出てくるザカイ君も同様の効果を得ることができています
戦前は合法だった?なぜ今は違法なの?
ホリエモンも言っていますが、大麻は戦前は合法でした。アメリカ進駐軍が違法化したのです。そもそもほとんど大麻を吸う習慣がなかった当時の日本人は
「明日からマリファナは禁止!」
って言われても
「なにそれ?もしかして気持ちよくなれるの?」
という感じだったそうです。逆にみんなの興味をひいてしまったようなものです。
(東北地方の木こり達の間で僅かに「麻吸い」という習慣があっただけで、当時はほぼ誰も知りませんでした)
そのアメリカが大麻の合法化に向かっている?
コロラド州やワシントン州は医療法だけでなく嗜好用のマリファナまで合法化されています。そこまでいかなくても医療用に限れば非犯罪化されている州は数多くあります。
シャーロットちゃんの例にもあるように、医療用には多大な可能性があるためそれを無視することはできなくなってきているのでしょう。
日本の大塚製薬もアメリカでの医療大麻研究・販売に積極的にかかわっています。日本国内では研究もままならないので資本が外に出て行ってしまっています・・
(カンナビノイドというのは大麻の成分名です)
ご主人様(=アメリカ)に言われた言いつけをずっと守り続けるというのは忠犬ハチ公とかぶってしまいます。もうご主人様は心変わりしているのに・・
憲法9条も似たような構図と言えます。
じゃあ大麻は解禁したほうがいいの?
よくわかりません。が、医療用・研究用に限っては禁止する必要は全くないのではないと私は考えます。もっと思うのは、そもそも「大麻を合法化したらどうなる?」という議論自体がタブーになっていることが一番よくないと思います。
ちょっと残念なことになってしまいましたが、選挙に出馬して大麻解禁の是非を議題にあげようとした高樹沙耶は、「人が言いにくいことを話題にする」という点では大きな功績を残したのではないでしょうか?
いや、大麻はちょっと・・危ないし・・といっているあなた。