苦労は報われない
昔、元裏稼業の人にそれとは知らず
「なんの仕事をしていたんですか?」
と聞いたことがある。
すると、
「仕事をしとったんや。」
と返事が返ってきた。
「え??どういことですか?」
と聞き返すと、
「ええか?仕事というのはお金を稼ぐ事を言うんや。わかったか。」
ときた。
「あ、これは裏稼業の人だ。」とピンときたが今になって思えば、この仕事の定義はすごく奥深い。
裏を返せばお金が儲からない事は仕事ではないという訳だ。
たとえば親の代から受け継いだ食堂を赤字になりながら必死に続けている人がいるとしよう。この「仕事」の定義に照らし合わせると、この人がやっているのはもはや仕事ではない。ただ苦労しているだけである。残酷に聞こえるかもしれないが、世の中は残酷なのだ。
お金を稼いでナンボの世界で、儲からない事に時間を奪われることはもはや悪だ。苦労は尊いものだという風潮があるが、それはもはや宗教だと思う。
漁師を例にとってみよう。ひたすら昔と同じやり方で長い時間かけて魚を取る漁師と、工夫して短時間で大量の魚を取る漁師。どっちが仕事をしているだろう?
苦労は尊くない。そこに「工夫」が生まれなければただの無駄。その工夫こそが仕事の本質であり、メシの種である。例の人が仕事の内容を具体的に教えてくれなかったのは、「誰がメシの種を人に教えるか、アホ。自分で考えろ。」という事だったんだろう。
苦労しないように工夫しよう。ただ苦労するだけでは何も報われない。
若い頃の苦労は売ってでもしないように・・・